事例紹介・コラム

NRI(野村総合研究所) × IES(インテリジェンス エグゼクティブ サーチ) 特別対談 次世代型エグゼクティブの創出 -エグゼクティブの育て方・迎え方-

第3回 育て方:エグゼクティブ・コーチングの効果

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永井

「そういうものは大部さんだけではなく、多くの社長が抱えている悩みです」ということと、「だからこそ私は『職業としての経営者』を育てる支援をしたい」ということをお話ししました。海外と違い、日本では、経営者というものが一つの職業、職能として考えられていません。だから実際には大企業でも、急に社長になる人たちばかりです。10年前から社長の練習をしています、という人はほぼいませんからね。

確かに、社長になる人というのは、豊富なビジネス経験を持つ方がほとんどですよね。現場で成果を上げたが故に昇進して社長になります。でも実際には、社長業としてパフォーマンスを発揮する準備はできていない。そこにギャップを感じますね。

永井

社長と副社長の重責の違いは、副社長と新入社員以上に違うと言われますから。それほどに経営者に求められるマインドセットは異質なのだと思います。アメリカの場合は、初めは小さな会社の社長となって、経営者としてのマインドセットやスキルを学びます。そして、成果を出すと少し大きな会社の社長となって、社長業を学び続けてステップアップしていきます。一方、日本の場合は、大企業の社長の多くが組織内で昇進して、長い期間をかけてやっと社長になる。つまり、社長業を学び続けることはあまりありません。この違いは大きいのではないかと思います。

私は、権限委譲の問題もあると思います。権限委譲ができていないから、大企業の執行役員であっても権限が非常に少ない。何も執行できないから経営者としての鍛錬を積むことができないのがほとんどな気がします。

大部

経営者はやはり「自分でやりたい」という人が多いですね。だから、組織の権限委譲が進まない。私が社長を辞めた一番の狙いはまさに権限委譲にあります。ポストが人を育てるのだと思います。もちろん無戦略に権限を丸投げしてしまうのはいけませんが。ただ、日本企業全般の傾向としても、権限委譲が苦手な企業が多いのではないでしょうか。カンパニー制を敷いても、各社の経営会議のたびに本社の人間がオブザーバーとしてやって来て、あらゆることに口を挟むから結局何も決まらない、という話もよく耳にしますね。

永井

多くのエグゼクティブには、決められた枠組みの中での決裁権はありますが、その枠組み自体を壊して変えるだけの権限まで与えられているケースは圧倒的に少ないです。ここ最近、さまざまな企業で事業の枠組みや仕組み自体を変革することが求められており、枠組みや仕組みを変革した経験を持つエグゼクティブが必要とされています。

突破口の発見:「社長としてどうありたいか?」の出発点は、「怒り」という感情でもいい

実に興味深いテーマだと思います。では経営者として、実際にコーチングを受けられての感想はいかがでしたか。

大部

とても有効でした。正直に言うとコーチの方にはセッションのたびに、いい質問でグサッと自分の痛い所を突かれるんです。もう悔しくて、次会うのが嫌になるくらいでした(笑)。その質問の中でも最も印象的だったのが、「大部さんはどうありたいんですか?」というものでした。「何をしたいか?」ではなくて、その前提となる「どうありたいか?」です。最初は意外なポイントを聞いてくるなと思いましたが、今思えば、経営者はそれがすべてですよね。ビジョンも熱意も、「自分自身がどうありたいか」という所から生まれ、私自身がどこまでそこにコミットできるかですから。その質問とその質問をきっかけとした考えるプロセスが、私が経営者として目覚めるきっかけになったのは間違いありません。

コンサルティングは経営戦略を教えるティーチングに近いけれど、コーチングはその人の内側から引き出すもの。コーチングとコンサルティングの一番の違いはそこにあるのでしょうね。特にビジョンや理念は、人から教わるものではないですから。

大部

繰り返しになりますが「会社もあなたも、どうありたいんですか?」という問いかけは、他のどの質問より重かったですね。自分がどうありたいかなんて、30年以上、考えたこともありませんでしたから。でも、ビジョンを語れないのは、経営者として大きな課題であることは痛感していました。経営者になると、いろいろな場面でビジョンを語ることを求められますが、最初は口当たりのいいことしか言えなかったんです。いわば借り物の言葉で、自分でも本当に信じられるものかも分からない。そして、いざビジョンを考えるに当たっても、「すべてのステークホルダーに対して良いこと、役に立つことを前提にビジョンを考えないといけない」という固定観念が、私の経営者としてのあり方にとって大きな障壁になっていましたね。

私も以前、永井さんのコーチングを受けた時に、「何が好きですか。何がしたいんですか」と聞かれました。正直、仕事というものは「すべきことで満たされている」という価値観しかなかったので、最初そんな質問されたときは戸惑いました。しかし、私も次第にその重要性に気づきました。やっぱり、自分の中にあるこだわりが大事なんですよね。

大部

そうなんです。コーチングのセッションを続けていると、ある時「結局、自分がやりたいことじゃないと、どんなに体裁の良い言葉でビジョンを語っても結局は絵に描いた餅になってしまう。そんなものを掲げても誰もついてこない」ということに気づきました。そして私が考えに考え抜いて行き着いたのが、「業界への怒り」という感情でした。まったくの門外漢からソフトウェア業界に入ったので、業界の慣習におかしいと思えることがたくさんありました。こんなことではいけない。業界を変えなければ。そんな怒りから出発してビジョンをつくり出していけばいいのだと。こんな風に開き直れたことが良かったのだと思います。

永井

コーチングでは、クライアントの価値観や世界観を見るときに、クライアントが発する強い感情に着目をします。その感情は、楽しいことや嬉しいことといったポジティブな感情もあれば、怒りや不満といったネガティブな感情もあります。大部さんは、コーチングセッションの過程でご自身の中にある一番強い感情に気づかれ、アクセスされたのだと思います。

コーチングの結果として当初の大部さんの課題だった「自分なりの組織マネジメントとは何か?」に関して何らかの回答は見つかりましたか。

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第7回

エグゼクティブの実際
2014年3月3日公開
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